2026年1月12日月曜日

「群青 日本海軍の礎を築いた男」素晴らしい本だった。

 「群青 日本海軍の礎を築いた男」<植松三十里/文春文庫>

自衛隊に対する存在意義や攻撃も多い今、昔から専守防衛を前面に出す自衛隊に対して不思議な気持ちを持っていたのだが、この本を読んで初めて腑に落ちた気がした。武士の矜持を見せてもらい清々しいほど感動した。まるで江戸末期のドラマシリーズを映像で見ているような錯覚を覚えるほど生き生きとした情景描写、人間活写。作家の力量に感嘆の溜息が出た。江戸末期のドタバタ劇は徳川幕府から見たものが多くはなく、最近やっと江戸幕府の官僚たちの優秀さが見直されてきたところだと思う。正月の時間のある時に読めて大変幸せな時間を過ごさせていただき感謝する。男とはこのように全うしたいものだ。



「華氏451度」読了。今、読むと感慨深い。

 「華氏451度」<レイ・ブラッドベリ/ハヤカワ文庫>

アメリカでマッカーシーの赤狩りの猛威が奮っていた頃に書かれたという有名古典SF。名前は知っていたが、昔のヒューゴー賞をとった有名SFなどは思想的に重いモノも多く当時まだ若かった自分にはE・R・バローズの「地底世界ペルシダー」にワクワクし、武部本一郎描く挿絵に掲載されている50年代のカレンダーガールみたいなパッツンパッツンの女性にときめいていたのでずっと未読だった。


 今回、図書館の除籍図書になったのを機に読んでみたのだが、今の世界情勢を考えると共産主義の焚書だけでなく帝国主義の焚書も十分危険なものであることがよくわかり著者の危惧を共有できたような気がする。
 メカニカルな著述は古さを感じさせるが機能的な部分についてはさすがにSFらしい将来予測がなされていて十分わかりやすい。アカデミズムの無力さは今も昔も変わらないが矜持を持ち続ける気持ちは今の時代にも通底しているような気がする。

2025年11月15日土曜日

「夜と霧」有名なのは知っていたが初読了

 「夜と霧」<ヴィクトール・E・フランクル/池田香代子訳/みすず書房>
              原題:EIN PSYCHOLOGE ERLEBT DAS KONZENTRATIONSLAGER   in...trotzdem Ja zum Leben




昔から常に「読むべき本ベスト100」の常連だったので知ってはいたが、アウシュヴィッツの話だったので気が重かった。図書館のリサイクル本で入手したので読んでみたがやはり名作だと思った。1956年に初版が"霜山徳爾"氏の初訳で出ているがその邦訳までの経緯も興味深かった。

初訳者の霜山氏の後書きに"思想的にも彼はあらゆるヘブライズム的なものから自由であったし、ヒューマニスティックな暖かい良識で、すべての人々をつつんでいた。"と書かれているが、それはこの本を読めば十分伝わってくる。

今回の池田氏による訳者の後書きにも書いてあるように、著者が改訂版を出した気持ちを推測しているが納得できる。確かに、「ユダヤ」という文字はほぼ出てこない。当時はイスラエルの第一次中東戦争があったので著者は複雑な思いであったろうが、今イスラエルを著者が見たらどんな思いを抱くであろうか。

今、世界のこの瞬間にこの本を読めたことに感謝する。






2025年10月25日土曜日

「生物と無生物のあいだ」

 「生物と無生物のあいだ」<福岡伸一/講談社現代新書>




DNAの構造解析の顛末について書いてあるのだが、結構面白かった。

エルビン・シュレーディンガーの「秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない」という一文は国家や企業にも言えることではないのだろうか、と思ったりした。

<すべての物理現象に押し寄せるエントロピー増大の法則に抗して、秩序を維持しうることが生命の特質であるこをと指摘した>
本文引用

著者の福岡さん、文章も上手だ。




2025年6月8日日曜日

「システムはなぜダウンするのか」復習になった

 「システムはなぜダウンするのか」<大和田尚孝/日経BP社>

図書館の除籍図書。勘定系システムの話はとても面白い。

よくメディアはダウンの原因をすぐに知りたがるが、まずは復旧が優先というのは理解しておいて欲しいものだ。と書いてあったが全くその通りだと思う。





2025年5月24日土曜日

「戦争と財政の世界史」面白かった。

「戦争と財政の世界史」<玉木俊明/東洋経済新報社>

オランダとイギリスの考察についてはなかなかだったが、現代史に関しては駆け足で一冊では無理かなと思った。前半と中盤については良し。