2016年3月19日土曜日

「ルポ 生殖ビジネス 世界で「出産」はどう商品化されているか」読了。全くおっしゃるとおり!!

ルポ 生殖ビジネス 世界で「出産」はどう商品化されているか (朝日選書)<日比野由利/朝日新聞出版>読了。まったく著者のおっしゃるとおり、学者らしく理論的でかつフィールドワーク的にもグレイマーケットなので事例は個別的であるがかなり事情をリアルに掬い上げていると思う。


「ルポ 生殖ビジネス 世界で「出産」はどう商品化されているか」


「出自を知る権利」に関して、世界で最も先進的なケースとして、オーストラリアのビクトリア州があげられる。ビクトリア州では、2010年以降、精子・卵子・胚の提供により生まれた子どもは、出生登録にその旨が記載される、これは、本人が出生登録を見ればわかるような形で強制的に知らされるもので、親の告知の有無に依存しない。また、ドナーの側も、18歳以上の子どもの同意のもと、子どもの個人情報を得ることができる、つまり、子どもとドナーとの間で、双方向の知る権利が保障されている、さらには、2014年から、匿名時代に行われた提供についていも、クリニックに残っている古い記録があれば、廃棄することなく、国の機関に提出することが求められた。
 「出自を知る権利」を認めているとされる国でも、子どもから請求があればドナー情報の開示に応じるとしているケースが多く、前提として、親g事実を知らせなければ、権利を行使できないケースも多い。ビクトリア州の制度がいかに先進的であるかがわかるだろう。<文中引用P193>

 ビクトリア州素晴らしい!権利というものはこのように公平でなくてはいけない。子どもは無力なだけに「知る権利」は法律で保護されるべきだ。どんな事情であろうと生まれた後は「知る権利」を得ることができる法律は、成人前後の自己のアイデンティティ確立に大きく寄与するだろう。

 実は知人にこの手の不幸があったので余計にそう思うのだ。著者が言うように、出産に対する考え方には文化的な背景もあるので、一筋縄にはいかないだろうが、啓蒙も含めて良き改革を進めていかねばならない。

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