2017年6月15日木曜日

「経済指標のウソ 世界を動かす数字のデタラメな真実 THE LEADING INDICATORS」読了、なかなかいい。

経済指標のウソ 世界を動かす数字のデタラメな真実<ザカリー・カラベル/ダイヤモンド社>読了、なかなか良かった。


著者はこの中で、"あるモノがどこで作られたのか、付加価値のどれだけをどの国に割り当てることができるのか。こういった判断はますます困難になっている。そもそも貿易統計は、一国を一単位とする単純な前提に基づいている。この単位は、閉じたシステムだ。外国製品が入ってきて(輸入)、国内製品が出て行く(輸出)という出入りはあっても、国民経済は、貿易の影響を受ける閉じた回路として扱われている"と、時代錯誤の前提を問題提起する。<第8章引用>

しかし、<過去と比較するために測定方法を変えられない>のも事実だ。<すべての部品とサービスを測るのは不可能>ともいう。

確かに、今は不可能だろう。だが、IoTの時代が本格的ににやってきたら、一つ一つの部品にチップが乗ることであらゆるトレーサビリティが可能になる。その時、部品の製造国がすべてクリアになり、正確な貿易指数を導きだせる。そして、その指数を手にする者が国連統計部の外部委託先になりうるどころか、国連そのものになるであろう。その者はそれには飽き足らず地球連合=地連を創設するかもしれない。世界のエリア別紛争はその時もはや無駄な綱引きでしかない。

それはともかく、現在だが、Amazonはおそらく消費者物価指数をオンラインの統計から導き出すことができるだろう。卸売物価指数も可能だろう。かなりの数の指数を提起できるから、世界中の統計担当機関の役割の一部を担えるようにさえなるだろう。

実際に、「THE BILLION PRICES PROJECT ビリオン・プライス・プロジェクト」というオンライン上の大量の在庫商品価格を集めリアルタイムのCPI(Consumer Price Index 消費者物価指数)を導き出す手法が編み出されている。Googleもこれに刺激されて、GDP指数を出したり雇用趨勢を明らかにしたり、知識労働者の生産性、果ては「Google物価指数」まで計算している。そのうち、Googleヘッジファンドができても決しておかしくはない。

ちなみに、ヘッジファンドのベスト7はビジネスインサイダーによると以下だ。

1.Bridgewater-Ray Dalio
2.Soros Fund Management-George Soros
3.D.E.Shaw-David Shaw
4.The Baupost Group-Seth Klarman
5.Citadel-Ken Griffin
6.Appaloosa-David Tepper
7.Och Ziff-Daniel Och
<Feb.1.2017 BUSINESS INSIDER>

このうち、No.1のブリッジウオーターが凄い運用益らしい。<Uploaded 24/Jul/2017>

この第5章の中で、マクロ経済学の一つ行動経済学の基を築いたミシガン大学のカトーナを紹介しているが、心理学を応用したこの考え方にふと思い出したことがある。

中学生の頃、夢中になって読み大きく影響された本に銀河帝国の興亡 1 (創元推理文庫 604-1)
がある。



当時は、創元推理文庫からしか出てなかったと思うが、今はファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)ハヤカワからも出ているようだ。




思えば、この中心人物ハリ・セルダンのせいで経済学を学ぼうと思ったような気がする。ハリ・セルダンは歴史心理学とかいう学問でもって世の趨勢、果ては地球の趨勢まで予測した上での地球脱出、新銀河帝国の構築というデカいスケールのストーリーものだったと思うが。今から、よく考えてみると行動経済学をマクロ経済へ拡大発展させた随分先を見越した学問のことだったように思う。さすが、作者アイザック・アシモフというべきか。

2017年6月14日水曜日

「「中卒」でもわかる科学入門」読了。わかりやすいけれど...

「中卒」でもわかる科学入門 ”+-×÷”で科学のウソは見抜ける! (角川oneテーマ21)わかりやすかったけれど、タイトルはいただけない。上から目線っぽい、と思ったけれど、作者の"小飼弾"さんがいつも自虐的に経歴を書いているので、そうじゃないだろうとは思ったが、やはり誤解するタイトルだ。小飼さん、意識しすぎだよ、学歴を。このタイトルは、「騙されないための科学」とか「科学とは役に立たなければならないのか?」とかのほうがわかりやすい。書いてあることはいいことなので、せめて「中学生でもわかる科学」などでいいんじゃなかったのだろうか。いずれにしろ、入門というほど事例がたくさんあるわけではないし、細かく解説しているわけでもない。見方を説明している、といったほうがいいかもしれない。だから、入門の入門みたいな。この本にも出てきた早野龍五教授の解説本があったら読んでみたいものだ。



最終章は、彼の人生観がよく滲み出ているいい問いかけだと思う。淡々と他にもいろいろな科学をたくさん紹介して欲しかった。続刊希望。ただし、科学を通した人生観や政治経済についてなどは別巻でお願いしたい。

「八十日間世界一周」を見てビックリ!

「八十日間世界一周」を見てビックリした。これは、中学生の頃、友人がTVで見て彼がひどく興奮してこの映画の凄さ、面白さについて語っていたので、そう言えば、きちんと見ていなかったなと思い直し見てみたのだ。すると、私は気球で世界一周するものばかりと思っていたのだが、なんと気球はイギリスからスペインまでで、後はずっと汽車だったり船だったりで移動するのだ。スチールも気球だったのでそんな勘違いをしたのかもしれない。友人はその後、大学で気球クラブに入り、就職後も気球を続け本当に一生を影響されるほどの傾倒ぶりだったのだが、私は"八十日間世界一周"の映画音楽はいいなあ、と思っただけで特に気球は興味が持てなかった。




で、感想なわけだが、面白かった。観光映画にもなっていて、今撮るなら全天周型カメラで撮ると物凄くリアルで楽しいだろうと思った。しかも、GPSでルートを記録すればどれだけの距離を何時間かかって通ったかとか、20日目のこの時間はここにいたとか、その時に緯度、経度はここだとか、いわゆるGoogle Street ViewのGoogle Air Street Viewができるんじゃないかと思った。

というか、FMS(FRIGHT MANAGEMENT SYSTEM)と組み合わせれば可能じゃないか。このDBにはかなりいろいろなデータが詰まっているらしいので全部アウトプットすればかなり役に立つのでは、おっとあまり無制限に出すと、ADIZ(Air Defense Identification Zone 防空識別圏)に引っかかって安全管理上、問題か?(uploaded 14/Jul/2017)

それはともかく、空中にはモノがほとんどないのでつまらないと思うかもしれないが、航空ルートはほぼ似通っているので、距離はあってもすれ違うことはあるはずだ。IMAXで見たいなあ。

しかも、主人公であるフォッグ卿よりも彼の召使いである(パスパルトゥー)のほうが活躍するではないか。フォッグ卿はデヴィッド・ニーヴンが演じている。昔、この人よく出ていたよなあ。召使を演じたカンティンフラスは知らなかったけれどメキシコの偉大な俳優、コメディアンらしい。ヒロインはシャーリー・マクレーンが演じていたとは...とにかくいろいろな有名人が出演していてそれを見つける楽しさもある。フォッグ卿のイギリス紳士っぽい描き方より召使いのパスパルトゥーの好奇心丸出し、スケベさ全開さのほうが実に面白かった。

昔の映画は面白い!



2017年6月11日日曜日

「007 ロシアより愛をこめて」のダニエラ・ビアンキは良かった

ドヴォルザークの「スラヴ舞曲 作品72の2」を聞いていたら、ちょっと「007 ロシアより愛をこめて」の挿入歌"From Russia With Love マット・モンロー Matt Monro"の曲に似ていたので探していたら私が当時「いい女だなあ~」と呟いていた、"ダニエラ・ビアンキ"が出てきて思わず嘆息。当時、ミステリーに凝っていて創元推理文庫を買い漁っていたのだが、ふと手にしたハヤカワ文庫の表紙だったか、裏表紙だったか忘れたが、とにかくそのビジュアルにやられて購入したのは間違いない。友人がめざとくそれを見て、「や~らしい」と言ったくらいだから、中学生には十分刺激的な写真だったのだと思う。

Daniela Bianchi Picture Daniela Bianchi
copyright by IMDb

経歴をよく読んでいたら、この人、ロシア人かと思っていたらイタリア人なんだね。初めて知ったよ。この歳になるまで知らなかったことはあるもんだ。

は~、いつ見てもええなぁ、ビアンキ様。このシーツの掛け具合がたまらない。ローラ北川景子に似てなくもないな。

Eva Green Picture Eva Green
copyright by IMDb

「007 カジノ・ロワイヤルのエヴァ・グリーン」も好きだが、一番はやはり、ダニエラ・ビアンキに限る!

2017年5月28日日曜日

使えるマイナンバーカード、地方のコンビニで申請書類も即印刷!

さて、まだ届いていないとかいろいろ評判の悪いマイナンバーだが、我が家にはしっかり届いた。申請はしたのだがなんだか書類に不備があったとかで、しばらく、そのまま放っておいたのだ。

しかし、近年、地方と都会を行ったりきたりするので、やはり持っていたほうが何かと便利に違いないと思い直して、個人情報の筒抜けより利便性を追求し本当に使えるのかどうか自分で検証してみよう、という気になってちゃんと入手することにしたのだ。

そして、最近、地方の役所に出向いた時、住民票ならコンビニでマイナンバーから印刷できますよ、と説明を受けて実際に必要だったのでやってみた。

すると、なんとも簡単に印刷してくれるではないか!便利この上ない!ただ、ついカードを忘れがちになるのでそこだけ注意が必要だ。

さらに、役所での各申請も超簡単!大抵は、本人確認の書類、たとえば運転免許証などもあわせて持ってくるようになどと言われるが、マイナンバーカードを提示するだけで本人確認が済むので5分以内に処理が終了する。役所といえばよく待たされるので有名だが、なんとも効率がよろしい。これからはマイナンバーだな!!

マイナンバーカード総合サイト‐マイナンバーカードについて

2017年5月26日金曜日

「定年後」読了。あまり役に立たなかった。

定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書) 読了。タイトルに釣られて移動中にKIOSKでつい購入してしまったが、作者の周りの人たちの情報ばかりであまり役に立たなかった。




都市に住むホワイトカラーが想定した読者のようである。地方在住者や自営業者、ブルーカラーの人にとっては全くピンと来ない新書だ。そのことは少し触れられてはいるが、作者本人がそのような状況でない上に、突然放り出された人でもないのでなんだか切実感とリアルさに欠ける。統計情報も少なく近隣フィールドワークの情報ばかりでこれでは飲み屋の友達との会話と同じレベルだ。

2017年5月25日木曜日

ヤマト運輸よ!もたもたするな!今こそヤマトプライムを立ち上げよ!

ヤマト運輸はネット通販の伸びが想定外だとかamazonの伸びにもう応えられないとかなんとか言い訳しているが、要は市場の伸長を見誤ったということだ。営業利益を前年より減らしている。また、経常利益と当期純利益は2001年以来全く伸びていないどころか低迷を続けたままだ。業績にあれだけ苦労した日本通運でさえ売上、経常利益とも苦しみながらも上昇傾向だ。まあ、Amazonへの追い出し部屋とか過酷なリストラもしたけれどね...一方で、佐川急便は売上を減らしても営業利益は伸ばしている。ストレスで顧客の荷物を蹴ったりしたけどね...佐川急便は値上げを決め、売上主義から利益主義へと舵を変えたわけだ。また、2016年には日立物流と資本・業務提携をして物流工場のロボティクス化とIoT化に積極的な姿勢だ。対するに、ヤマトは昔から自前主義で通すためヤマトシステム開発を通じてIT化は進んでいるが、あくまで内部SIerに過ぎない。amazonにおけるキバ・システムズのような自走式ロボット開発のノウハウがある訳ではない。佐川はヤマトシステム開発のような優れたシステム会社を持たないため外部との提携に頼らざるを得ないが、その分日立物流との例に見るように大胆な提携をすることも可能だ。

調べてみたが、キバ・システムズは2012年にamazonに650億円で買収されており、2013年にAmazon Roboticsが発足しているので発展的吸収されたようだ。今、考えると安い買い物だと思う。Walmartと買収を競ったらしいがWalmartはさぞかし後悔したことだろう。

さて、なんとかヤマトが利益回復に向けて時間稼ぎをしているが、ヤマトにはかつて"ブックサービス株式会社"という子会社を持っていたことをご存知だろうか。ヤマトの書籍通販会社だ。提携した栗田出版販売から書籍は仕入れていたが、注文から倉庫、顧客先まですべてヤマトが担っていた。同じ頃、amazonも立ち上がっている。ブックサービスは日本初の書籍オンライン販売サイトだったわけだ。年表で対比させてみよう。

1986年:ブックサービス株式会社設立(ヤマト運輸&栗田出版販売)
1987年:電話、FAX、ハガキ注文を受けて書籍通販と宅配を行うサービス開始


1995年春::amazonのWebsiteが完成しβテスト開始。
1995年夏:amazon正式サービス開始、Amazon.com, Inc設立。

1996年:ブックサービスがインターネット販売を開始

1997年春:NASDAQ上場、初値は1株$18。
1998年春:株価最高$105。
1998年6月:音楽配信事業に参入。UK、ドイツにてサービス開始。
1999年6月:ユーザー数1000万人。
2000年1月:レイオフ。株価90%下落。最安値一時15ドル
2000年:日本進出。日本通運(ペリカン便)が宅配を担当
2000年9月:航空宇宙企業「ブルーオリジン」設立
2001年10月:立ち読み機能追加。
2002年7月:クラウドサービス「Amazon Web Services」開始。

2005年10月:2期連続の赤字決算などを理由に社長退任
2007年4月:ヤマト撤退

2007年6月:amazonプライム開始
2007年11月:電子書籍リーダー「Amazon Kindle」を発表。同販売サービス「Kindleストア」開設。

2008年6月:日本通運は郵便事業(JP 日本郵便)と宅配便事業を統合し、新会社"JPエクスプレス"を日本郵便主導で設立。宅配事業は清算会社に移行撤退。

2009年11月:靴のネット販売大手「ザッポス」(Zappos.com)買収。
2010年秋:Kindleストアで著者直接販売システム発表。
2011年2月:ビデオサービス開始。
2011年3月:個人向けクラウドサービス「クラウドドライブ」開始。
2011年9月:電子書籍リーダー「Kindle Fire」発表。
2012年3月:ロボットメーカーのKiva Systemsを買収
2012年9月:電子書籍リーダー「Kindle Fire HD」発表。
2012年秋:日本向けKindleストア開設。
2013年春:佐川急便(飛脚)が取引打ち切り
2014年6月:スマートフォン「fire phone」発売

2014年6月:日本郵便の契約社員9人が労働条件への是正を求め大阪地裁に提訴


2015年:楽天買収
2016年:楽天ブックスに統合

2017年3月:ヤマトのサービス残業代に関する横浜地裁での労働審判が調停成立。
2017年:ヤマトamazon取引打ち切り

これを見てもわかるように、amazonは10年弱でペリカンを使い倒し宅配事業の清算にまで追い込んでいる。そして、5年で飛脚が悲鳴を上げ4年でクロネコが逃げ出した。つまり、20年かけてamazonは日本の宅配便を潰してきたと言える。これから、サイコロは巡り巡って再び日本郵便(JP)が受け持つようになるだろうが、JPの非正規社員に対する扱いの酷さは有名なのでそのうち問題になるだろう。最後は、amazon自身が宅配を手がけることでthe endとなるか。

実は、私は1996年ヤマトがブックサービスのオンライン販売をした時にその発展の可能性を感じてかなり興奮した。なにしろ、amazonがブックサービスを買収しに日本にやって来てヤマトが断った、という話も伝わってきたのだから。この年表を見てもわかるように、ヤマトはamazonがやろうとしていた先を物流ではすでに先行していたのだ。

では、1996年~2005年の間にヤマトは何をしていたのか?amazonに振り回されていただけではないのか。いや、それだけではないだろう。根本的には、子会社ゆえに受託志向の会社にありがちな攻めの経営ができなかったのではないかと推測する。なぜなら、当時の株式持分比率はヤマト側80%、栗田側20%であったのでハンドリングはヤマト側にあったのだ。デリバリーの主事業を超えて事業を拡張できなかったのだ。スピンオフさせればもう少しなんとかなったかもしれないが、それでもやはりシリコンバレーのスピードを上回ることはできなかったろう。

そこでだ!ヤマトはまだ宅配ブランドを維持している。だからこそ、自身のヤマトプライムを作ればいいのだ。ヤマトのサービスを優先的に使う顧客は無料!即時サービス!佐川よりヤマトという人は多いだろう。私自身は使用経験上決して佐川が乱暴だとは思っていない。普段、接していても元気で気持ちが良い人ばかりだ。攻めの経営だ!今こそ、故小倉社長の攻めの経営を思い出せ!

だいたい、日本のサービス業はオーバーサービスなんだよ。コストに見合ったサービスであるべきだし、生産性を考えず属人的なんだよ。オーバーサービスはプレミアムサービスなんだから、プライムプライスにすべき。つまり、妥当な金額を発生させるべきだ。通販のお届けで再送なんかすべきでない。庭か玄関先に放っておけ。再送は有料にすべきだ。宅配ポストを作らざるを得ないようにサービス設定をすればいい。

かえすがえすも、ブックサービスは無残な最期だった。全出版社との取引コードをハイエナ楽天に掻っ攫われただけだった。その楽天も書籍サービスは浮上できないままだ。

と、ここまで書いたら、日本経済新聞5/24電子版に"日本通運、インターネット通販の米アマゾン・ドット・コムが中小企業の米国向け輸出を支援する。日通が複数企業の商品を集約、一括して通関手続きと輸送を実施し、商品はアマゾンの通販ルートで売り込む。流通コストは最大3分の1に抑える。人材や貿易リスクで慎重になりがちな中小企業の輸出を流通面から支える官民の取り組みが始まる。"<日本経済新聞5/24電子版引用>と出ていた。今度は倉庫業で下請けをするつもりらしい。