経済指標のウソ 世界を動かす数字のデタラメな真実<ザカリー・カラベル/ダイヤモンド社>読了、なかなか良かった。
著者はこの中で、"あるモノがどこで作られたのか、付加価値のどれだけをどの国に割り当てることができるのか。こういった判断はますます困難になっている。そもそも貿易統計は、一国を一単位とする単純な前提に基づいている。この単位は、閉じたシステムだ。外国製品が入ってきて(輸入)、国内製品が出て行く(輸出)という出入りはあっても、国民経済は、貿易の影響を受ける閉じた回路として扱われている"と、時代錯誤の前提を問題提起する。<第8章引用>
しかし、<過去と比較するために測定方法を変えられない>のも事実だ。<すべての部品とサービスを測るのは不可能>ともいう。
確かに、今は不可能だろう。だが、IoTの時代が本格的ににやってきたら、一つ一つの部品にチップが乗ることであらゆるトレーサビリティが可能になる。その時、部品の製造国がすべてクリアになり、正確な貿易指数を導きだせる。そして、その指数を手にする者が国連統計部の外部委託先になりうるどころか、国連そのものになるであろう。その者はそれには飽き足らず地球連合=地連を創設するかもしれない。世界のエリア別紛争はその時もはや無駄な綱引きでしかない。
それはともかく、現在だが、Amazonはおそらく消費者物価指数をオンラインの統計から導き出すことができるだろう。卸売物価指数も可能だろう。かなりの数の指数を提起できるから、世界中の統計担当機関の役割の一部を担えるようにさえなるだろう。
実際に、「THE BILLION PRICES PROJECT ビリオン・プライス・プロジェクト」というオンライン上の大量の在庫商品価格を集めリアルタイムのCPI(Consumer Price Index 消費者物価指数)を導き出す手法が編み出されている。Googleもこれに刺激されて、GDP指数を出したり雇用趨勢を明らかにしたり、知識労働者の生産性、果ては「Google物価指数」まで計算している。そのうち、Googleヘッジファンドができても決しておかしくはない。
ちなみに、ヘッジファンドのベスト7はビジネスインサイダーによると以下だ。
1.Bridgewater-Ray Dalio
2.Soros Fund Management-George Soros
3.D.E.Shaw-David Shaw
4.The Baupost Group-Seth Klarman
5.Citadel-Ken Griffin
6.Appaloosa-David Tepper
7.Och Ziff-Daniel Och
<Feb.1.2017 BUSINESS INSIDER>
このうち、No.1のブリッジウオーターが凄い運用益らしい。<Uploaded 24/Jul/2017>
この第5章の中で、マクロ経済学の一つ行動経済学の基を築いたミシガン大学のカトーナを紹介しているが、心理学を応用したこの考え方にふと思い出したことがある。
中学生の頃、夢中になって読み大きく影響された本に銀河帝国の興亡 1 (創元推理文庫 604-1)
がある。
当時は、創元推理文庫からしか出てなかったと思うが、今はファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)ハヤカワからも出ているようだ。
思えば、この中心人物ハリ・セルダンのせいで経済学を学ぼうと思ったような気がする。ハリ・セルダンは歴史心理学とかいう学問でもって世の趨勢、果ては地球の趨勢まで予測した上での地球脱出、新銀河帝国の構築というデカいスケールのストーリーものだったと思うが。今から、よく考えてみると行動経済学をマクロ経済へ拡大発展させた随分先を見越した学問のことだったように思う。さすが、作者アイザック・アシモフというべきか。
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