2013年7月10日水曜日

自民党の「憲法改正草案」を読んで、「華氏451」を視聴した

 自民党の「憲法改正草案」を読んで、華氏451 [DVD]を視聴した。監督はフランソワ・トリュフォーだが、彼はヌーヴェルバーグの人だと思っていたので、このようなSF映画を撮っていたとは知らなかった。彼自身はSFとして撮っていないようだが...

 共演のジュリー・クリスティが一人二役でどちらも素敵だった。ロングヘアーの彼女、ショートヘアーの彼女どちらも良い! だが、一番良かったのは音楽で、ヒッチコックの有名な映画「鳥」などの音楽を担当したあのバーナード・ハーマンだ。子役でマーク・レスターがほんの少し顔を出していたので、おっ!と思った。

 内容は、本を持つこと、読むことを禁止された世界について描いたものだ。1966年当時のロンドンが背景にあるので、先端的な乗り物がモノレールということになっているのが微笑ましいが、TVを薦め本を焚書する徹底した思想管理に寒気がする。

 自民党の「憲法改正草案」の中には繰り返し、"公益及び公の秩序に反してはならない。"という文章がたびたび出てくる。12条、13条、そして(表現の自由)第21条、29条だ。この言葉は時の政権についてはまことに好都合な憲法となる。そして、自民党が自分たちの党は永遠であると思い込んでいる実にリスク管理の低い政党であることを示している。自党が瓦解し、ファシズム志向の党が権力を掌握した時のことを全く想定していない。予測できればこんな憲法改正は怖くて書けない。民主党との権力反転で言ったことがそのまま返ってくるブーメラン効果を全く学んでいないようだ。それとも、安倍首相は祖父もできなかった自主憲法制定で大首相の歴史をなんとしても作りたいのだろうか。

 実は、映画の終わりも少し寒気がした。本の人々の住んでいる場所に主人公は逃れるのだが、そこでもやはり本を焼くようリーダーから強制されるのだ。焼いて暗記して頭の中に入れるから本は必要ないということなのだ。本があるから焚書されるのであって人々の記憶の中に入り込み、伝えられていけば永遠に失われることはない、ということらしいが、その洗脳ぶりに逆におぞましさを感じた。どんな時でも"公益及び公の秩序に反してはならない。"などというその時の公益や公の秩序がどういう状態であるかを想定定義していない法律など創作してはいけないのだ。

 有川浩原作「図書館戦争」が出ているのでこれもあわせて今度読んでみようと思う。近未来の焚書話を書いていて、図書館戦争 革命のつばさ 特別版(初回限定生産版) [Blu-ray]も出ているらしいので楽しみだ。

 いずれにしろ、いろんな本を読んだり映画を見られる基本的権利である表現の自由に制限や前提をつけちゃいけないよ。それは附則の問題だ。言葉の定義なくして法律はいじっちゃダメだ。

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