2015年1月28日水曜日

「縮小都市の挑戦」読了。なかなか良書だけれど縮小都市の再構築はやはりなかなか困難だろう。

縮小都市の挑戦 (岩波新書)著者:矢作弘。


「縮小都市の挑戦」


なかなかの意欲作だった。今、並行して開発経済学の本を読んでいるので、その処方箋のような本書だった。デトロイトとトリノの分析については冷静なのだが、日本の現状の第三章になると俄然過激に全国チェーンのスーパーマーケットを攻撃し始めるのにはびっくりした。まあ、日本を愛する気持ちが強いのだろうけれど同時に本当の地方の姿を知らないのではないのかとも思った。

ジェイン・ジェイコブズ(Jane Butzner Jacobs)の引用が多く、私はよく知らなかったので彼女の著書をいくつか読む必要性を感じた。

アメリカ大都市の死と生

が代表的な本なのだそうだ。

本書で、縮小都市商店街の再構築には、工房型商店→高級食品スーパー→生鮮三品の専門店などを例として引いているが、地方縮小都市の低年収、最低基本賃金の低さ、公務員や電力などの地方インフラ大企業が消費の中心として回っていること、遊ぶ所の少なさ、驚くほど若年層を見ないこと、などなど住んでみればわかることがたくさんある。

けれども、確かに全国スーパーチェーンが地方都市の文化、歴史を取り込んだ立地になっているとは口が裂けてもYesとは言えない。しかも、立地された市民の正規雇用に全く役立っていない。非正規雇用を増加させているのも事実だが、ないよりましだという諦めが先に来ているのだろう。実際、正規雇用がないから地元の若者は入社できない。テナント料がバカ高いのでテナントも全国チェーン展開できる会社だらけだ。結局、都会やロードサイドでもお馴染みの金太郎飴のようなショップばかり入店する。それでも、若者はデート先が少ないのと都会っぽさを実感できるのでやってくる。もちろん、ソフトヤンキー、その予備軍もやってくる。日本全国、どこに行っても同じような光景を見る。著者の矢作さんからすれば唾棄すべき情景かもしれないが、これが現実だ。

スーパーだけじゃない、コンビニも進出先の地方経済と「間柄」を作っていない。置いてあるものは全国ほぼ同じ。それは安心だがTVと同じような考えない消費者を作り出すことになる。洗脳された消費者の誕生だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿