め~てるの気持ち コミック 全3巻完結セット (ヤングジャンプコミックス)(作者:奥浩哉)読了。メルヘンだったのかな。
全3巻セット
題名から判断すると、主題の"め~てる"は"はるか"ということになる。そうだとすると、"はるか"が息子を更正させるためのプロセスを演出したということになる。
けれども、このようなキャラクター設定はまずありえないので結果的にはメルヘンだったということになる。しかし、ヤングジャンプ連載だったということなので多少のエロさを加えて読者が若い男性ということも考慮して"慎太郎"に感情移入できるようなストーリー構成になっている。
GANTZ コミック 全37巻完結セット (ヤングジャンプコミックス)の作者、奥浩哉と同一なのでキャラクター設定が似ているのは仕方がない。安二郎とおッちゃんが似ているのには笑った。GANTZ:G 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)と比べると"はるか"の肉体描写が曖昧なのは残念だった。GANTZでは胸や陰部辺りをもう少し細かく描いている。肉体描写は、東京大学物語(1) (ビッグコミックス)の"江川達也"の作風と似ているのが気になった。なぜって?だって、名前が一緒だから。はるか=水野遥(みずのはるか)なので、最初読んでいるうちに妙な既視感があったからだ。特に、慎太郎とはるかが部屋でコトを始まる前のシーンは、村上直樹と水野遥のシーンとダブるものがあった。はるかの異様に大きい胸といい、対する慎太郎の不安な立ち位置といい、似ている。また、江川達也のキャラクター村上春樹は異様に汗や涙を流す大変誇張した描写であり奥浩哉も似ている。。"GANTZ"もそうだった。Twitterで"江川達也"をディスった作者なら否定するだろうけれど...
東京大学物語
周辺に引きこもりがいる私としては、なかなかうまく描けていたと思う。引きこもり=病気なので、家族は共依存にならないよう離れる必要がある。このストーリーも最善の方法だったと思う。ただ、ありふれたキャラクターにするとマンガにならないので、元美少年と美少女、冴えない親父が出てくる。
最後のシーンが少しわからない。お父さんが死んで六年。その間に"はるか"が懸命に努力して慎太郎を自活できるところまで導く。それが一年、慎太郎がラーメンの修行を最低一年して二年。そこで、小さな女の子、コブ持ちのそれほどイケていない年上の女性と結婚してラーメン屋を始めて一年。僅か三年の間にコトを成し遂げて不動産まで処理した。ここまではなんとかリアルっぽい設定だ。
けれども、"はるか"の見た目は当時と全く変わらず、犬の"さくら"も同様。いや。遠目にはそれほど変わってなくても少し老けたのかもしれないし、"さくら"は二代目または死んで買い替えたのかもしれない。ただ、"父ちゃん"と叫ぶ少女と慎太郎との距離と向きが妙にズレていて気になる。初婚で子供が生まれたとしても、今度は女の子の成長が早すぎる。
"はるか"が入社したのが20代前半。知り合って一年で結婚したのが23歳。離婚した母親と電話しているので23歳あたりの話と考えられる。離婚した母とは連絡するぐらいなので険悪というわけではなさそうだ。それから六年たったとしたら29歳。若い!若すぎる!メルヘンとしか言いようがない。慎太郎は引きこもりを脱出して36歳。"はるか"が凄いのはもう一人友達のひきこもりを高校時代に脱出させている点だ。凄いカウンセラー能力を持っている。
それにしても、登場人物たちはよく泣く。リアルな引きこもり家族もこのように一人ぼっちにする設定をして欲しいものだが、家から出られないなどの諸事情があるのでなかなか実行できないようだ。
夢オチではなかったが全体的にはメルヘン物語なんだろうと思った。本当にリアルなひきこもりがいるご家庭のことを考えるとなかなか悲痛なことだと思う。敢えて身を引いた"はるか"の潔さは見事なカウンセリングだったと思う。実際問題、こんな可愛い女性だったら部屋出るよなあ、とか考えていたら、日本最古の引きこもりは"天照大御神(あまてらすおおみかみ)"なわけで。彼女を外に連れ出すために使った手段は、天宇受賣命(あめのうずめ)によるストリップなわけで引きこもりから脱出させるのに有効な方法は外界に対する興味を引かせることに尽きるのだろう。それが、予想外のことであればあるほどインセンティブは強くなる。そういうことなのだろう。
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