2013年8月14日水曜日

「惑星ソラリス」を観てこりゃSFじゃないよと思った

 惑星ソラリス HDマスター [DVD]をまだ観ていなかったので改めて借りて観てみた。監督がA・タルコフスキーでロシアの映画であることは知っていたが、長時間と聞いていたので面倒くさいなあ、と思いながら何十年も経ってしまったので、このままでは観る機会を失ってしまうと思い立ったのだった。

 で、観てみて驚愕。なに、この冗長さは!?なんで延々と景色を?海を!?そんなに水が好きなんかい!?なんで東京の高速道路が?日本語そのまま写っているし、なんで延々とロシアの絵を写すの?フェイドしか技巧がないのかよ!?実験映画でももうちょっとアバンギャルドだろ。音楽は良かった。

 中身はSFと言うより哲学的といったほうがいい内容だった。S・レムの原作小説はもう少しSFだったような違っていたような、まあいいや今度もう1回借りて読み返してみよう。難解なようだが、テーマはシンプルだ。家族や愛情、生活と自然、科学と自然、アカデミズムと凡庸な価値観、ネイティブとクローンの価値、科学と神など考えさせられる両立が難しいテーマが色々含まれている。SFをフレームとして借りて作った哲学的映画と言えるかもしれない。

死んだ妻が蘇ることは嬉しくても、ちょっと何か違うなあ、というんじゃ嬉しさよりも不安と混乱がいっぱい。今の監督だったらホラー映画になっちゃうんだろうなあ。確かに当時のソ連という国の中で自分の思いのたけをぶちまけた映画を作ろうとすると、こんなややこしそうな映画になっちゃうんだろうなあ。

「図書館に訊け!」読了

 図書館に訊け! (ちくま新書)読了。図書館の利用方法ノウハウ本だった。ホテルのコンシェルジェと同じように利用しまくれ、ということだがホテルにコンシェルジェがいるのは一流ホテルだけだし、ビジネスホテルにコンシェルジェなんかいないし、同様に図書館の規模によって違いがあるし、図書館も最近は外部委託が増えていて、非正規労働者がかなり多い。要はパートの人たちが多い。また、文化会館やコミュニティ会館の一部で小規模の場合もある、地方に至っては今週の入荷図書など童話5冊だけ、という状況がほとんどだ。都会と地方はとんでもなく差があるし、著者の勤務している大学と違って蔵書や貸し出し易さに格差もある。だから、著者が言うようなノウハウを知ったところで、利用できない場所が日本にはたくさんある。都会はまだ恵まれているのだ。

  
 「図書館に訊け!」

スパリゾートハワイアンズに行く前に「フラガール」を観た

 スパリゾートハワイアンズ Spa Resort Hawaiiansとは?

 要するに福島県にある有名なアミューズメント施設でハワイアンダンスが最大の売り物、ということだった。車で常磐道を通って行ったのだが、途中間違えて茨城県の日立中央ICで降りて迷った。スパリゾートハワイアンズ自体はなんのことはない、いわき湯元ICから極めてすぐなのだが、いわき中央IC方面を日立中央ICと思い込み違いになってしまったようだ。アホだね、

 実は、ここに来る前に映画で予習をしてきたのだ。スパリゾートハワイアンズの成り立ちを追ったフラガールスタンダード・エディション [DVD]を視聴したのだ。これを事前に観ていて本当に良かった。実際のダンサーの切れのある腰に魅了された。まあ、実は運転に疲れてほとんど寝ていたのだけれど...

 ハワイアンガールズたちを育てた実在の人物、カレイナニ早川(映画の中では平山まどか、松雪泰子が演じている)さんがまだご健在で今も元気に指導されていることを知り驚愕!

 それにしても、松雪泰子は高慢な女の役は天下一品だね。映画、白鳥麗子でございます [DVD]などツンデレ女役ぴったり。ツンデレ結構、好きです。さすが幼少時にバレエを習っていただけに身体が柔らかい。

 そして、スパリゾートハワイアンズを立ち上げた常磐炭礦元社長、偉い!アンタは偉い!よくぞまあ、炭鉱から湧き出る水を利用してこんな施設を作ろうと思い立ったもんだ。上越新幹線大清水トンネルから湧き出る水を利用して作ったJR東日本のミネラルウオーター大清水などを開発した会社はいろいろ吸収合併されちゃってもはやとっくにない。それに比べるといまだ隆盛を誇るスパリゾートハワイアンズは地元住民の雇用を第一に考えた地域還元ローカルビジネスの鑑だね。音楽のジェイク・シマブクロの軽い曲調も妙に合っていて良かった。

 さて、実際のスパリゾートハワイアンズだが...実はハワイアンダンス以外はショボイ。私は、ここの施設とよく似た西の雄、Nagashima Resort ナガシマリゾートをよく知っているので、あちらと比べるとGreat!とは決して言えないのだ。旧名称 長島温泉にはジャンボ海水プールはあるし、アトラクション遊園地、アウトレットはあるし、歌謡ショウもある、しかもどれも規模がデカイ!海のすぐそばに立地しているので、拡張工事も簡単なのだ。昔は植物園もあったのだが今はないようだ。まあ、維持費の割りに人気なかったしな。

 それはさておき、スパリゾートハワイアンズだ。当日は、ボリショイサーカスの曲芸もやっていてイベントはいろいろあるようだ。プールの水はそれほど温かいわけではない。市営プール並みと言っておこう。私は老骨に応えるので入らなかったけどね。替わりに温泉に入った。和風の檜風呂に入ったらボリショイ関係のロシア人が気持ちよさそうに先に入っていた。ああ極楽、極楽、日本のリゾートはやはりこれだね。ディズニーにはこれがないから行かんよ。

2013年7月21日日曜日

「雨に唄えば」視聴してみて改めてミュージカルはいいなあと思ったりした

 雨に唄えば 50周年記念版 スペシャル・エディション [DVD] 「雨に唄えば」視聴完了。

主役のジーン・ケリーもいいが、共演のドナルド・オコーナーも実に上手い。さすが、両親がボードビリアンだけある。相手女優のデビー・レイノルズも可愛い。あのスター・ウォーズのレイア姫を演じたキャシー・フィッシャーの母親だったとは知らなかった。ハリウッド、さすがコネ強力。ジーン・ヘイゲンの悪声演技も上手いし、よく見るとやっぱり可愛い。妖艶なダンサーを演じたシド・チャリシーも魅力的な上にダンスが上手だった。カメラもその美しい脚を舐めるように映している。さすがにバレエをちゃんと学んできただけはある。

「世界が認めたニッポンの居眠り」を読んで都会の電車事情などを考えてみた

 世界が認めたニッポンの居眠り 通勤電車のウトウトにも意味があった!<ブリギッテ・シテーガ/阪急コミュニケーションズ>読了。


「世界が認めたニッポンの居眠り」


 ま、外人さんが書いたほどほどの本。新書で十分じゃないか。

 スキーの帰りにあまりに疲れ果て眠くて新幹線の通路に横たわって眠った自分にとってウトウトはひとごとではない。また、近鉄電車内で若い女性に完全に頭を乗せて眠りこけていた自分を友人が"すいません、すいません"とずっと謝り続けていたあの頃、今ならセクハラものだ。けれども、なんだかあれは妙に気持ちがいんだよなあ。

「会社の老化は止められない」を読んでその通りと思ったりした

 会社の老化は止められない――未来を開くための組織不可逆論<細谷功/亜紀書房>読了。



「会社の老化は止められない」

深みがない内容なので読まなくてもいい。

老化する会社もあれば、成熟進化する会社もある。対比で語られなければ一様には解釈できない。書いてあることは転職した経験がある人なら誰もが納得する内容だろう。イケイケドンドンの会社が厳しくなると急に渋チンになったり、やたら細則が多くなったり減点主義になったり、どうもコンプライアンスに煩くなってきた時代から面倒くさい会社が増えたように思う。

「日本を捨てた男たち」を読んでロングステイなど考えてみた

 日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」<水谷竹秀/集英社>読了。


「日本を捨てた男たち」


 要するに出稼ぎで来日したフィリッピーナに引っ掛かった純な男たちというのだろうか。日本のシステムに嫌気が差してしまったというか、ふとしたことで零れ落ちてしまったというか、妙にラテンアジアな文化に魅了されたというのだろうか。面白かったけれど新書で十分だ。

本日の東京新聞日曜版によると(資料はロングステイ財団)、2012年のベスト10は、

1. マレーシア
2. タイ
3. ハワイ
4. オーストラリア
5. ニュージーランド

6. カナダ
7. フィリピン
8. シンガポール
9 インドネシア
10. 台湾


だそうだ。確かに、アジアはゴルフフィーなどは安いけれど、ゴルフは1ヶ月に1回でも十分だと思う。気のあった友達とやるからゴルフは面白いんだし...あと、キャディーが必ずついてくるというのもどうなんだろう。別にフィーを渡すのをケチるというんじゃなくて冗談を和気藹々言いながら歩くというのがいいんであって、芝目は左曲がり少し下がり気味だとかサジェストされてもそんなに真剣なわけじゃないし、ニギっているわけでもないし。

 老人たちにとっては言葉と食べ物が一番の心配事だろう。日本語がわかる人がいるといったってねえ、いろいろ一人で動きたいだろうし、わりと刺激的な食物は胃がびっくりしちゃうんじゃないかな、それにライスもどちらかというと硬めだし、飲み込みにくいだろう。肉は骨ごとが多いし、魚も種類が全然違うし、当たり前だけれど。

 マレーシアにはセカンドホームビザ(MM2H)というのがあるらしいんだが、この条件が、

50歳未満
RM50万(約1,300万円)以上の財産証明と月額RM1万(約31万円)以上の収入証明が必要


50歳以上
RM35万(約1,085万円)以上の財産証明と月額RM1万(約31万円)以上の収入証明または年金証明が必要


 ということなんだが、年金が31万円以上なんて大企業や地方公務員でも無理だろう。

 "マレーシアは多民族国家で多種多様の文化・宗教が混在し、異文化の宝庫である。親日的な国民、英語が広く通用し、政情が安定し、治安状況が良い。また地震がほとんどなく、台風の発生はもっと北のため、風水害が少ないという事も人気の理由である。"

 以上、ロングステイ財団主席研究員 山田美鈴 東京新聞から引用

 いちおう単一民族(実際は違うけれども)に慣れきっている日本人にとって本当の多民族というのは結構気を使うものだよ。親日的とかいっても引ったくりは日常的にあるわけだし、政情が安定しているということはそれは裏返しに言えば強権的だということだし、文化的とは言えないんじゃないかな。地震がほとんどないったって、日本人は地震にはもう日常的な自然現象になっていて慣れっこの人のほうが多いんじゃないかな、だから、外人がガタガタ真っ青になっているのを見ると不思議そうな顔をするんだろう。台風も夏には必ず来るものだと日本人は思っているし、これがなけりゃ夏じゃないだろう、とさえ思っている人はいるだろう。もちろん、農家の人にとっては死活問題なのでナーバスな気持ちになるのはわかるけれど、これが本当の長所ではないだろう。

 むしろ、家賃の高い香港やシンガポールに住むより、マレーシアに住んで通勤、通学にシンガポールに向かうというのが実利的な価値ではないだろうか。

 もちろん、さらにお金持ちの人は、村上ファンドの代表だった村上世彰氏のように、金融資産の秘密保持が強固で、他国からの口座照会も断固拒否で、最近その弱腰っぷりが著しいスイスもびっくりの情報統制金融国家シンガポールに会社と居住地を移すのがいいのだろう。法人税を17%に抑えられるし、課税所得のための費用は損金扱いできるし、その他金融特典がてんこ盛りだ

 だから、ロングステイ先として考えるより、マネーロンダリング(Money Laundering)いやいやマネーキャピタライジング(Money Capitalizing)の場所と考えるほうが説得力に分がある。