2015年4月24日金曜日

2月に公立全寮制男子中高一貫学校の鹿児島県立楠隼中学校・楠隼高等学校を見学してきたのだが、お金かかってた。

この2月に公立全寮制男子中高一貫学校の鹿児島県立楠隼中学校・楠隼高等学校を見学してきたのだが、寮はお金かかってた。カメラを持っていったのだが写すのを忘れるという大失態。よくやるんだよね。公立全寮制男子中高一貫学校の鹿児島県立楠隼中学校・楠隼高等学校のブログもあるらしい。場所だが、鹿児島県大隈半島の田舎にある。鹿児島市内ではない、肝属郡肝付町前田という場所でここにあった高山高校を廃校にしたという経緯がある。東串良町の先にあり鹿屋市が一番近い市ということになる。鹿屋高校という中堅の高校があるのだから、ここを中高一貫学校にすればいいじゃないかと思うのだがそうはならなかったのが不思議なところだ。

副校長が案内と説明をしてくれたのでわかりやすかった。彼によると、一番の長所は必要経費だそうだ。公立のため中学校で寮費、授業料入れて月最大67,000円、高校で月最大71,900円。ラ・サールと比較するとほぼ半分で済む。

校舎はまあなんということはない、いかにもリニューアルしましたという感じ。渡り廊下で寮に入ると贅沢にも木をふんだんに使った内装で全室個室。風呂はそう上場企業の社員寮ぐらいの大きさであろうか、ランドリーもあったが基本クリーニングに全部出すそうだ。個室もこじんまりとしているが、新築なので清潔そのものだ。まだ一棟だけだが新入生が増えるともう一棟建設予定だ。舎監は先生が務めることになるそうだ。保健室や学習室、メディアスペースなど必要十分だった。ただ、ひとつ気になったのは携帯電話の使用禁止措置だ。他のIT機器は使っていいのだろうが、この田舎では光もWiMAX2+もつながらないだろう。となると学校内のVPNかLANということになるのだが、見たところ回線が個室に来ている様子はない。WiFiで各室をつなぐのはセキュリティ上ありえないだろう。となると、IT的には嬉しい状況ではなさそうだ。今どきのIT機器はインターネットとすべて結びついているので実質IT機器はかなり制限されていると断言してよいだろう。年頃の少年にそれは我慢できるのだろうかと思った。ちょっと抑圧的というか犯罪を恐れるあまり画一的な対応になっていないか。IT関係はみすぼらしい環境のようだ。改善を望みたい。グラウンドは広い、ラグビーやサッカーの地方大会を開けるほどだ。若干、高台にあるので見晴らしも良い。

授業料が安く済むのはありがたいことだが、これは公立ゆえの話。先生が公立かどうかわからないが、公立私立にかかわらず熱心で指導上手なら安心できるのだがそうなるかどうか始まってみないとわからない。福岡他の私立学校が鹿児島県教育委員会に、こんな学校作ってもらったら困るみたいな申し入れをしたらしい。確かにあからさまな公立版ラ・サールに見えるかもしれない。なぜ僻地の学校を廃校にしてまで男子校なのだという意見もある。なぜ女子を排除するのか、周囲の学校を次々と廃校統合しておきながらこの学校に巨費を投じるのはなぜか?鹿児島県の税金を使ってなぜ都市の子弟を育成しなければいけないのか、等々。校舎のリニューアル、寮の建設等40億ぐらいかかっているらしい。一方、お隣の志布志市にある志布志高校の英語科は2012年に廃科、英語科は女子の数少ない有望な進学先だ。鹿児島県の女子の進学率は日本で一番低い。元々男尊女卑の文化だ。もちろん、男女別の学校というのは九州や東日本ではよく見かけるので鹿児島だけが特別というつもりはないが、志布志事件を覚えているだろうか、21世紀に入って捜査のために警察が踏み絵を強制して日本中を震撼させたあの事件だ。そういう気風が残っている土地柄だということは忘れなくてもいいだろう。

最近、ニュースで知ったのだが、志布志市の隣りにある曽於郡大崎町では"大崎事件"という今も再審が続く冤罪事件があったらしい。しかも、この事件を手がけたのが志布志署だったとのこと。時は大きく隔たれているが、やはりこのあたりは怖いエリアだ。<uploaded 26/Jul/2017>

それはさておき、近くの鹿屋市は自衛隊基地があることで有名だが自衛隊=もう軍と言っていいでしょうか、基地のおこぼれにかまけて市独自の文化を育成してこなかったつけがまわって今は衰退市町の一つとなっている。昔は基地のおかげで色街もあり賑わいがそれなりにあったと聞く、だが、基地を呼び込むと色街ができ一時的には賑わう、人口も増える。もちろん、風紀が乱れるといったマイナス面もある。だが基地が移転したり廃止されたりすればそれで終わりだ。これは世界中で見られる光景だ。沖縄だけではない。お偉いさんは色街のことは決して言わないが、色街があるから基地があるのではない。基地があるから色街ができるのだ。文化風俗を悪し様に言うつもりはないが、その前にやることがあるだろう。貧困から起こる風俗をとやかく言うのではなく、そうなる前にどういう手を打つかだろう。本来的には地方の強みである物産の開発や振興を地道にやっていかねばならない。鹿屋市には何回か通ったが中心街は空洞化が進み、旧市街のため道が狭くごちゃごちゃしていて都城市のようにすっきりしていない、土地の高低さも大きい、市外へたとえば鹿児島市に通勤している人も多い。夕方から夜にかけて鹿児島市内から鹿屋市周辺へ戻る車で道は混み合う。

近くには志布志国家備蓄石油基地や、JAXAの内之浦宇宙空間観測所があったりするので、これら自衛官や技術者たちの子弟のための学校かと穿った気持ちにもなる。鹿児島市にある同じような私立のラ・サール中学校・高等学校に送り出すには遠いしお金も倍かかるしといったこともあるだろう。

近隣の曽於郡大崎町の有明高校は今年の三月で廃校、最後の卒業生36人という生徒数のあまりの少なさに廃校やむなしと思う。指宿市の山川高校も廃校危機迫る。過疎化、少子化で統合は待ったなしの状況だ。しかし、統合だけでは今後統合された学校に通う不便さはどう解消するつもりなのだろうか。通学バスを走らせればその運営資金さえない。もはや、地方は統合より男女問わずすべて全寮制型へ統合すべきなのではないか。

そのまたお隣の曽於市では市内の高校をすべて廃校にして一校に統合、それぐらい過疎化、少子化が進んだ地域ということだ、だからこその中高一貫校とも言いたいのかもしれないが、それなら、渋谷幕張校のように進学校でありながら男女一緒にするか、少なくとも半分の20億を使って女子中高一貫学校を作るべきだったろう。

さて、話を元に戻そう。募集定員は60名の少数精鋭だ、先生も広く募集中なので意欲的な先生が集まるのではないだろうか。試験も鹿児島だけでなく東京、大阪、福岡で受けられるのでこれはありがたいところ、実際に東京からの受験生は3割を超したそうだ。ラ・サールの併願校なのかもしれないが、どこまで偏差値は伸びるのだろうか、今年初めての新入生を迎えたので格付けはこれからだろう。

教育委員会は宇宙と中国をやたら結びつけているが、これは地理的なもので後付けっぽい。いろいろ書いたが知事の圧力かそれに応えた教育委員会なのかわからないが、沖縄、九州の最低賃金の低さを背景にした子供たちへの教育投資が苦し紛れのエリート育成に終わるのではなく、教育の底上げをどのようにして行うかということをもっと身を切って考えてもらいたいものだ。そうはいっても、国から自治体への大規模な予算で成り立つ地方自治体経営は自ら税制を立てることがなかなか難しく一本立ちさえ大変なのはわかるが、やりきる姿勢さえ見えてこないようではやはり保守王国鹿児島だからなのかと思われてしまうだろう。

開校時の最初の卒業生の進路結果が出た。36人中約1/3が国公立大学に進んでおり、私立大学も1/3進学している。後の1/3はどうなったのだろうか。初年度の学生たちはよく頑張ったと言えるだろうし、それなりの学力の生徒が集まったようだ。今後の卒業生がどうなるか見ものだ。高校入学者の定員割れが続いているらしいが、わからないでもない。ある程度の学力の生徒は鹿児島市内の鶴丸高校などに行きたいだろうし、寮生活を今時6年も続けたいとゲーム好きの子どもたちが思うだろうか?それでなくても寮費が高い。全国的に見ても所得の低い鹿児島県民で賄える適正費用なのだろうか。医者が子弟をここにわざわざ入学させるとは到底思えない。

男女共学にして制服は男女とも格好よく可愛らしいブレザーにして、寮費は補助金をあえて出す。また、通学も可能とする。徹底的に受けを目指す、というのもありだろう。まあ、50億円と言われている初期投資を回収するのは到底無理だろうが...

もう仕方がないので廃校にして、航空工学でも学べる全寮制の共学県立単科大学にでもしちゃいなよ、とか思う。近くに、国立の鹿屋体育大学もあることだし...(追記/19,Jun/2018)

広島県立広島叡智学園という中高一貫校が、2019年4月に開校する。ここも公立で全寮制だが男女共学のようだ。倍率も高い。寮費も月額4万円ほどとそこそこだ。インターナショナルな学風を意識しているが、良質な先生を集められるか心配だ。どうみても、赤字経営だと思うが公費で賄うだけにどういう制度設計なのか気になるところだろう。保護者の負担軽減制度があるといっても、寮費が無料になるわけではないだろうから、一定の収入未満の家庭ではやはり無理だろう。しかも、県外入学を認めているのだから、どこまで卒業後、県に成果のリターンがあるか疑問だ。<追記/27/JAN/2019>



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