2017年7月9日日曜日

塾に未来はあるか

最近、塾を調べる必要があっていくつか回ってみたのだが、昔と比べると明らかにコストダウンしているな、と思わせる困窮ぶりだ。まず、事務所が一回り小さくなった。そして、はやっていないところはとんでもなく塾生が来ていない。

突然の政府のお達しで、私立高校が無償化されるという話を聞いたが、まるでよくわからない方針だ。そんなことなら、就学を助けるセーフティネットの充実のほうがよほど現実的だろう。潰れるべきゾンビ私立高校の救出策としか思えない。

不安は消費の大きな燃料だ。事故が心配でしょう、保険に入れば安心です。マンションなら地震にも安心です。お子さんの勉強と将来不安でしょう、今のうちに学力を上げましょう。わけのわからない加工品は不安ですよね、無農薬野菜に天然ものをご提供しましょう、膝が不安ですよね、今のうちにカルシウムをたくさん取りましょう、などなど。

よく考えてみよう。なぜ、Amazonはお坊さん便を始めたのか、そこにニーズがあったからだ。Amazonは、不透明な再販売制を未だに維持している古い業界や不透明な賃金体系に守られた業界などを徹底的に崩すために参入してくる。最近、生鮮食品に乗り出すためにホールフーズ・マーケットを買収したのはその業界を乗っ取った時のリターンが巨大だからだ。そして、配送の外部委託を止めて通販の自社物流の構築を末端まで貫通させるためだ。

そこで思うのがコストコの立ち位置だ。コストコはAmazonと全く逆でリアル店からのアプローチだ。リアル店でAmazon Primeのようにコストコ会員を支払わせている。お店を倉庫のようにして生産性と合理性を究極まで追求している。コストコにないのは巨大なオンラインショップだけだ。だから、コストコこそオンラインを仕掛ける資格があるはずだ。

Slice Intelligenceによると、もはや小売店はドライブスルーを手がけないと生き残れない、余命5~10年だと書いている

正確に言うと、今U.S.Aで取り入れられつつある「Curbside Pickup Service」をお店側が導入しないとヤバイよ、ということらしい。独立系のお店やチェーン店はこの「curbside」というアプリを導入するだけでインストアで商品を渡せるのですぐに対応が可能だ。ビッグチェーン店はこれと同じ機能を自社アプリにビルトインしているようだ。

日本ではどうだろうか、車が必須の田舎ならいいかもしれない。実際に、私は先月、宮崎県都城市にある「はやみず薬局」というドライブスルー型の薬局でこれを見かけてビックリした。ここは、「早水公園クリニック」に併設されていて、図からもわかるようにクリニックと薬局をはさむようにしてドライブスルー化されている。薬局の本部は「テクノミックス」というIT会社だ。メールシステムのソリューションを手がけているようだが、この薬局との関係性まではわからなかった。クリニック自体は私も中に入ったが、内科、小児科、外科、消火器内科、アレルギー科と何でもありの若手のお医者さんだ。キッズルームもありできたばかりということもあり中は綺麗。通りに面しており駐車場も広く十分な余裕がある。


Google Mapより

日本のローカルならこのスタイルはしばらくいいだろうが、都会ではそれだけの敷地が取れない。田舎は車必須なので数年は拡張できるが、シェアリングサービス型の自動車やバスのビジネスが立ち上がってくると先行きは怪しい。敷地があるか、併設型のお店ならいいが柔軟な働きができる係員をそこに配置できるか、それだけのコストを吸収できるかという人材の問題も立ち上がるだろう。(Uploaded 18 Jul 2017)

さて、それはともかく、いずれ、Amazonはモノだけでなく人間という通販を活発化させるだろう。それは、今の人材派遣サービスの会社の領域を取りにいくためだ。そのうち、塾講師便を出品してくるだろう。今の塾は高い家賃を払って高い広告販促費を使って、生徒を募集し、先生を募集し、オリジナルテキストを制作し、通塾システムを完成させる。なぜ、こんなにj費用を使うのだろうか。そこに、疑問は持たないのだろうか。

駅前のビルを借りるのは妥当なのか?バイトの先生は雇用主側の生徒の親が直接ネット指名すればいいではないか。評価システムも万全だ。先生側も途中で塾に収奪されない。Amazonにロイヤリティを払うだけでいい。教え方が上手く、有名大学在学生であるほど需要が高くなる。授業料の設定も自分で決められる。家に直接行けばビルの空き室はいらないではないか、生徒との1対1だけでなく、雇う側が友達を呼んで、工夫次第で1対2の授業のシェアリングも可能になる。自宅をビルの空き室と捉える考え方は非現実的か?では、学校の教室を借りればどうか?ビルより安くなるのではないか?どこに問題がある。行政の教育指針か、それは突き崩せないのか?学校側もお金が入るのなら、乏しい運営資金を補えるのでは?無理!?忖度してくれる安倍首相にお願いしろ。選挙資金を与えてやれ、票を集めてやれ。

私なら、こんな状態になる前にAmazonの中に塾によるMarket Placeを立ち上げる。そのほうが、先生の質をある程度保ちながら管理でき、彼ら彼女らのDBも保持できるからだ。だが、これも家庭教師センターが自ら解体しつつ始めたところでレッドオーシャンだ。というか、塾ビジネスを維持することこそ最もリスキーな方針だろう。

生徒はこれからどんどん少なくなる。高校も大学もすでに全入時代だ。日本は資格は昔から金で買う国だ。重い奨学金をもらえばなんとか大学までは行ける。もはや生産人口が足りないのだから、若い人間は金の卵だ。大学に行かせなくても、高校を卒業してすぐに大企業の工員になれば高い給料が約束されている。30代になる前に中小企業の40代並みの年収を獲得できる。並みの私立大学を卒業してTOYOTAに入社する確率と底辺県立高校を卒業してTOYOTAに入社するのとどちらが確率が高い?どちらが得だ?どちらが先に家を建てられる?どちらが先に結婚できる?いや、結婚してくれる異性が現れる確率はどちらが高い?どちらが、たくさん子供を産むことができるんだ?どちらが、安定した一生を描けるのだ?ベルファイヤーを購入できて乗れるのは?海にキャンプに年老いた両親と孫と一緒に行けるのか?介護はどちらが万全だ?親の家近くに住めるのはどちらだ?親の家を継いで安く改築できるのはどっちだ?

周辺製造業の多い工場勤めの愛知県の親はこんなふうに考える。これは、工場の多い県ならみな同様だ。

こんなことを書いたのは、私の出身校である底辺高校の今年の大学への進学率がとうとうゼロになってしまったからだ。実情は関係筋から実際に聞いた話だ。

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